私どもケーズエンジニアリングでは、トヨタ生産方式の考え方による改善コンサルティングを通じ、数多くの改善リーダーを育成するサポート活動をさせて頂いております。

改善エッセイ

第27話  眼でみる管理 (5)― 見え難いモノの目でみる管理④ -税金

2013年6月25日

   今日も東京電力(株)から電気ご使用料のお知らせが来た。

  検針日が今日(3月25日)であるので、このお知らせがポストに入っていた。

   この内、燃料費調整41.93円と再エネ発電賦課金等166円が加算される。

  燃料費は5月になったら+0.64円(kwh)当たりになりますと予告してくれている。

  5月は節電で行くかという気持ちになる。

  再エネ賦課は例によって再生エネ等太陽光が42円(kwh)と相当な院内活動によって決まったが、

  自民党になって△2円強減少された。マクロでは賛成であるが、ミクロの個人の事となると反対したくなる。

  この金は東電に入ってその後どの様に流れるのだろう?知りたいのは私だけか。

   TPPみたいにミクロ反対と唱えていい気になっているどこかの団体がうらやましい。

  早く電力の自由化をしてくれないかァ。

  そうなったら原子力の12円(kwh)を買うゾ!

 

  最近の話題の1つに「消費税還元セール禁止」法案が上程された。

  案の定、イオンをはじめ多くの販売店が反対である。

  政府は下請けの中小企業いじめが立法の趣旨との説明だが、もう1つのネライがあるのではないかと思う。

   これはアメリカの例であるが、ハーバードのチェティ教授等が北部カリフォルニアで

  一部の商品の価格表示方法が売上に与える影響を調査、実験をした。

  (A)は総額表示、(B)は「税抜き価格+売上税=総額」の表示

  売上の結果は(B)が(A)に対し8%売上低下した。期間は3週間。

  (「競争と公平」大竹文雄著、中公新書)

  一部の商品について価格の表示形式が混在したため、消費者が価格が高くなったと誤解したかもしれない。

  そこで彼らは長期に調査する。

  ビールについて行った。ビールはアメリカでは「酒税」と「売上税」が課せられる。

  「酒税」は価格に含まれるが、「売上税」はレジで計算される。

  即ち「酒税=物品税」は「目立つ」が、売上税は「目立たない」。

  州によって税率が異なるので、税率の変更が売上に影響する度合いは推定しない。

  酒税が1%上昇すれば売上は約1%減少する。

  ところが売上税は1%上昇してもビールの売り上げに影響しないことが分かった。

  即ち、消費者の消費行動は店頭価格にのみ依存するということである。

  チェティ教授の実験は、実は日本では2004年4月に大規模で行われた。

  当時日本は総額表示=支払総額表示と、税抜き○○円+消費税××円の表示が許されていた。

  結果、導入後、「2~3月はスーパー等で変化したが、その後は終息した」と政府は結論づけた。

 

  今回も同様なことを行っている。反対を押し切って。

  思うに、政府は増税を行う場合「目立たない」様な税にしたい。

  「再エネ発電賦課金等」も4月からソット賦課されたためか、あまり新聞等ではサワガナイ。

  来る消費税増税も出来ればソット+3%にしたい。

  それを還元セールで明白にされれば困るのではないか。

  価格の中にソット含ませておけば消費者は気付かないのではないか、

  その結果売上に影響しないのではないかというサモシイ心があるのではないか。

   日本人だって、アメリカ人なみに、表示方法にダマされない様になるヨ。

  (消費税をレジで支払う様になればダマサレル かな)

 

  (近藤 哲夫)

第26話  眼でみる管理 (4)― 見え難いモノの目でみる管理③

2013年6月11日

  企業の中にいて部下の「心の状況」を把握することは重要な事であるが

  これがなかなか難しい。時にプロジェクトでチームワークの状況をリーダーとして知りたいとき

  色々な文献(特にアメリカ)を調査してみた。また、アメリカのコンサルタントにも聞いたことがある。

  モチベーションの調査をその時はテストしてみたが、多変量解析では計算式は理解できても

  結論は曖昧であった。それから40年以上経過して、少しは変化したかもしれない。

 

   「幸福の方程式」(ニック・ホータディ、阿部直子(訳)阪急コミュニケーションズ)という本の帯には

   ―あらゆる「幸せ」には値段が付けられる! ―とある。

  TitleはThe Happiness Equation とある。Equation(方程式)とある以上計量的な話かな

  と思いつつ読んだ。

  面白かったのは、

  ①ドイツ合併時から10年間東ドイツ人の生活に対する幸福度追求(P98~100) と

  ②インプットとしての幸福度追求(P209~210)であった。

 

  ①については、幸福度は平均実収入との変化を時系列で分析している。

  対照として西ドイツの男女である。

  即ち、東西ドイツの男女の年度ごとの生活に対する満足度と実収入を比較した。

  これに依ると10段階平均(0=非常に不満、10=非常に満足)で、収入が1%増加すると

  満足度は男女とも0.5ポイント増加している。

  この満足度の変化は失業者がフルタイムで仕事に就いたときの変化に相当するという。

  即ち収入の状態に無関係に、仕事に就くことで満足度が0.5ポイント増加するのである。

 

  幸福度i,t=β×収入i,t+性格i+誤差i,t

     iは人、tは時間、βは係数である。

  幸福度は収入(=金)に比例するのかな?

  ただ時間がtからt+δtに変化するとどうなるか?

  すぐ消えるのか?

  性格はその人特有のモノ(時間変化なし)、誤差は計測誤差等の誤差を含む。

 

  ②については、幸福は往々にして儚く一時的であり、お金で買うことも出来るが一時的なものであるという。

  また、「成功は幸せの鍵ではない。幸せが成功の鍵である。」(A.シュバイツァー)と

  幸福をインプットするという考え方を例示して説明している。

 

  「幸」という「心の状況」が計量可能で、一時的、かつインプットであるとすれば「チームワーク」という「心の状況」も

  計量可能で、一時的かつインプットとして考えることが可能である。

  「幸」という従属係数が「収入」という係数の従属である様に、「チームワーク」という従属係数も

  「ある仕事」の従属であるはずである。

 

  私は、プロジェクトにおいては「日々の日程の進行」が基本になると考えている。

  即ち、日程がスケジュール通り(±5%以内)ならば「チームワーク」は「並み」であると考えよう。

 

  (近藤 哲夫)

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