私どもケーズエンジニアリングでは、トヨタ生産方式の考え方による改善コンサルティングを通じ、数多くの改善リーダーを育成するサポート活動をさせて頂いております。

改善エッセイ

第35話 時間ドロボー その2 タイムマネジメント

2013年10月22日

  先日、ある会合での雑談の折、元社長からタイムマネジメントについての話があった。

  その話の要点は、部課長が自分の話を中々聞いてくれないとのことで、「忙しくて・・・」の理由で。

  (彼は現在同社の相談役をやっている)

   彼曰く、「忙しいという奴に限って非効率で、仕事が出来ていない。

  タイムマネジメントが出来ていないんだなァ。」

   それからその会合ではしばらくはタイムマネジメントが話題になった。

  それによると、タイムマネジメントはあるコンサルタント会社が発明したらしい。

  どうも話の様子ではトヨタの開発-生産開始期間が36ヶ月なのに、

  アメリカの自動車メーカーは60カ月もかかっていたらしくそれで、トヨタを調査したところ(1980年代)

  タイムマネジメントがしっかりしていたことによるらしい。

 

   1980年代と言えば、第7話「時間ドロボー」で話した通りカローラのモデルチェンジが70年代の末に行われた。

   タイムマネジメントなる言葉はここから生まれたのか?

   このときは

  ①水上競技のバトンタッチから陸上のバトンタッチへ

      ②チームワークによる全体効率化(大部屋化)

      ③情報のチーム内オープン化

    を基本として実施した。

  その雑談会でも話したが、

  「自分最適」だと、他人に愚痴が出る。

  「全体最適」でないとダメだなあと。

  「忙しい」と思う人々の大部分は「自分最適」の様だ。

  そう言う人々は全てを自分でやりたがる。そうしないと気が済まない。結果部下は白けてしまう。

  人は育たなくなる。

  「そう人々は、本人は自覚していないが、部下の成長する時間を奪ってしまう時間ドロボーだネ。」

 

   そう言えば、県庁の改善のお手伝いをしていた時、県議会になると忙しくて改善がストップすることが

  話題になった。

  「あの資料を作れ。」「これをまとめろ」・・・と課長に県会議員は命令(?)する。

  結果、殆どの関連業務はストップする。

  「なぜ自分で作らないのか?秘書も居るし、調査費もあるでしょう?」の問いに、

  「共産党議員を除いてすべての議員がそうですから・・・・」との答え。

  多くの県会議員は「自分最適」で「時間ドロボー」か。

    タイムマネジメントは全体がWIN―WINになる「全体最適」でなければならないと思う。

   宋文洲氏ではないが、マネジメントはコントロールの要素よりも話合いの要素が多い。

   マネジメントはコントロールするよりも他人や部下の1対1の話合いが重要ですネ。

  マネィジする人ですから。

 

  (近藤 哲夫)

第34話 2030年を見据えて(2)

2013年10月08日

  アメリカの国家情報会議(NIC)は、アメリカの将来に向かって4の大きな流れ

  (これをMEGA TRENDと呼んでいる)と、国際社会が見せている6の傾向の要素

  (これをGAME CHANGERと呼んでいる)これに楽観、悲観その他の見方を入れたシミュレーションを行っている。

  統計では70近いシミュレーションであるが、日本版はその内の4つが示されている。

  (大統領にはもっと多くのケースが示されているだろうネ)

 

   4つのMEGA TRENDとは、

  ①個人の力の拡大

  ②権力の分散

  ③人口構成の変化

  ④食糧、水、エネルギー問題の連鎖

  である。

   6つのGAME CHANGERとは

  Ⅰ.危機の頻発する世界経済

  Ⅱ.変化に乗り遅れる国家統制力

  Ⅲ.高まる大国衝突の可能性

  Ⅳ.広がる地域紛争

  Ⅴ.最新技術の影響力

  Ⅵ.変わる米国の役割

  である。

   本の内容は置くとして、何故2030年か? が私の最初の疑問であった。

  1つの答えとして(他にもあると思うが)、OECD加盟国と非加盟国の国力指数が2031年で

  逆転するというグラフである。

   国力の定量的定義は不明だが、定性的定義はある。

  定量的定義は、社会現が必ずしも一定ではない(物理的現象に比べて)ので、その時々の

  状況によって変化することも考えられる。

   いずれにせよ、現状からの諸条件によって決定したのだろう。

 

   次に地球温暖化によって、ヒマラヤの氷河が溶けると、水不足で中国、インド、パキスタンの

  農業を取り巻く環境は厳しくなってくる。このことに対して、わずかしか説明していない。

   日本では、昔、水問題で戦争になったが、21世紀はどうなんだろうか?

 

   全体を通じての印象としては、

   人口構成の変化

   とアメリカのこれまでの傾向

  を参考にして、4つのMEGA TRENDと6つのGAME CHANGERを組み合わせて

  アメリカの将来をシミュレーションしているようである。

 

  *アメリカの傾向とは、例えば「発明から米国民の25%が使う様になるまでに要した年数」とか、

  ○○力指数のパラメーター等のことを指す。

 

  (近藤 哲夫)

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